テストステロンは”インチキ”が嫌い

投稿者: | 2017年11月7日

昔は男性ホルモンといえば、「男らしさ」や「逞しさ」の土台となるホルモンと思われてきました。確かにテストステロンはそうした役割を担っていますが、別の意外な側面を持っていることも確かなようです。その最たるものが「社会性」です。テストステロンは世の中のゆがみに敏感で、人間の公平性を高め、何ごとに対してもフェアな姿勢を取るように導く働きを持っているのです。

ドイツのボン大学で、こんな研究が行われました。九十一人の若い男性をほぼ同数の二つのグループに分け、それぞれに「ある塗り薬」を使ってもらいます。二重盲検比較試験といって、薬効のある「被験薬」と、薬効のない「プラセボ」を、どちらのグループに使うかは知らされませんが、実は片方のグループの薬にはテストステロンが入っているのです。

テストステロンが入った薬を塗ったグループの男性は、当然男性ホルモンの値が高まります。ただし、その時点ではどちらのグループも、自分のホルモンの値に変化があることは知りません。

その状況で、この二つのグループにサイコロゲームをしてもらいます。誰も見ていない部屋で、一人ひとりにサイコロを振ってもらい、出た「目」を申告してもらうのですが、この時に「出た目の大きさに比例した金額を賞金として出す」と伝えるのです。例えば、一が出たら千円、二が出たら二千円、六が出れば六千円——といった具合です。誰も見ていない部屋でサイコロを振って、しかも自己申告です。実際に出た目にかかわらず嘘でも大きな数字を申告すれは、それだけ得をすることになります。

結果を見ると、テストステロンを塗っていないほうのグループは、明らかに高い「目」の数字が多く申告されていたのに対して、テストステロンを塗っていたグループの申告は、一から六までの数字がほぼ均等に出ていた。つまり本来の「目」が出る確率に沿った回答だったのです。

嘘をつける状況なのに嘘をつかないということは、公平や公正という面での意識の高さを示しています。正直に行動することにプライドを持つことは「男らしさ」につながります。そこにテストステロンが働いていることを示す、非常に面白い実験結果といえるでしょう。

また世界的に権威のある科学雑誌「ネイチャ!」に発表された研究によると、テストステロンの値が高くなると、震災などの被災地でのボランティア活動や、恵まれない人への寄付行為など、弱者を助けようという気持ちが湧いてくる傾向があるそうです。

これは「利他的行動」の一つといえるでしょう。自分の不利益を顧みることなく仲間や周囲のために努力し、犠牲にもなれる気持ち。そこにはテストステロンがきわめて強く働いているものと思われるのです。

どうやらテストステロンは、「社会性のホルモン」ということができるようです。

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