女性の中の男性ホルモン

投稿者: | 2017年11月7日

テストステロンは、女性の体にとってもベーシックな部分においては重要な働きがあります。「女性らしさ」を支配するエストロゲンは、生殖機能に関係する重要なホルモンですが、女性の体内でも、実は男性ホルモンであるテストステロンのほうが女性ホルモンであるエストロゲンより十倍以上も量が多いことはあまり知られていません。

女性は五十歳前後で閉経を迎え、卵巣機能が低下し、エストロゲンの量は急激に低下します。これにより女性の体に混乱が起き、様々の不快な症状を引き起こします。これが「更年期障害」なのです。

ただ、この更年期において、テストステロンはあまり変わりません。したがって更年期を経て体のスイッチがリセットされると、今度はテストステロンの影響で女性の脳は「男性脳」に変わっていく、つまり男性的な思考パターンへとシフトしていくと考えられています。男子高校生がAKB48に声援を送るのと同じように、中高年の女性たちが韓流スターを追いかけるなど、同年代の男性から見ると呆れるほどアクティブになるのは、こうした男性ホルモンの動きによるものなのです。女性の更年期はつらいものですが、大体五年以内に終了し、女性は再び元気になります。

男性の方は、テストステロンがゆっくり減少していくだけで、エストロゲンが補ってくれるようなことはありません。年を追うごとに枯れて行くだけの男性から見れば、更年期後に再浮上できる女性のホルモンシステムは羨ましい限りなのです。

私は若い日本女性も、男性ホルモンの量が増えているのではないか、と見ています。「かわいい子には旅をさせよ」といういろはカルタの子どもは男の子。かつて、旅に出て冒険をするのは男性でした。見知らぬ社会に飛び込んでいくチャレンジ精神には、テストステロンが大いにかかわっているのです。

ところがいまや、高校や大学で海外留学を希望したり、「自分探しの旅」と称して外国へ放浪の旅に出る女性が増えています。これは、女性が一人で海外を旅行できる環境が整ってきたこともありますが、やはり男性ホルモンが高くなければ、こうした思い切った行動はとれません。

一方で、日本人男性はあまり海外に目を向けなくなってきたといいます。冒険心の低下だけでなく、異文化とのコミュニケーション能力が下がっているのかもしれません。つまり、社会性のホルモン、テストステロンが低下している可能性が高いのです。

テストステロンが落ちれば、自分のテリトリーの外への興味が低下します。「外はどうなっているんだろう」という男性本来の興味が湧かなくなり、「ここでおとなしくしてい よう」と、内向的な思考になっていく。今の日本人男性がまさにこの状況なのです。

高校生は電車の中で、親しい関係でも互いに小突きあったりして、仲間の中のヒエラルキーを確認するような行動をしたものです。しかし、最近の若者はおとなしく群れているようです。全員が一等賞といった、競うことのない教育では、「ホルモンを出す」訓練がされなくなってしまったのかもしれません。

やさしくて穏やかな草食系男性は増えましたが、男性が本来持つべき冒険心や社会性は低下している。これは見方によっては「国力の低下」につながりはしないか、と危惧します。実際に米国のビジネススクールでの研究では、テストステロンが高めの女性はリスクが高い仕事を選びやすく、テストステロンが低い男性は、「堅い」業種に就職しやすいという結果が出ています。

女性がアクティブになる一方で、どんどんおとなしくなる男性。現在の日本では、男女間のテストステロンのレベルが、実は近づきつつあるのかもしれません。

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