女性ホルモンが引き出す「愛情ホルモン」

投稿者: | 2017年11月7日

男性ホルモンであるテストステロンが利他的行動に影響する━━書くと、女性からは「女性ホルモンには他人を思いやる気持ちはないのか」とお叱りを受けるかもしれません。そんなことはなく、女性ホルモンにも利他的行動に関係する作用はあります。

これは「オキシトシン」という脳内ホルモンの働きによるもの。オキシトシンの値が上昇、つまり多く分泌されると、人は周囲に対して愛情を注ぐようになります。ただその愛情を向ける範囲は、テストステロンの「社会のため」「不特定多数の利益のため」に比べ、「わが子のため」「家族のため」あるいは「愛する人のため」といった自分に近い対象となる特徴があるのです。そしてこのオキシトシンを誘い出す働きを持つのが、女性ホルモンの代表格であるエストロゲンです。オキシトシンは、エストロゲンの値が上昇すると、脳の下垂体という内分泌器官から湧き出してきます。信頼する心、誠実な心といった美しい人間の特質には、このオキシトシンが関わっています。

オキシトシンは母親が赤ちゃんにおっぱいを上げるときに出る、授乳ホルモンです。赤ちゃんに母乳を与えている時の母親は、オキシトシンの値が非常に高くなります。そこにはわが子に対する愛情の強さが関係しているのですが、面白いことに、この時赤ちゃんの体内でもオキシトシンが上昇するのです。授乳だけではなく、母親の目を見るだけでも赤ちゃんのオキシトシンは高まります。まさに「母子の情」の深さを表すホルモンといえるでしょう。

母乳で育った子供は人に対する思いやりの気持ちが強くなる、という研究結果が出ています。これも、実は授乳時のオキシトシンの高まりが関係しているのではないかと考えられているのです。

オキシトシンは男性の体にも存在します。エストロゲンの値が高まることで産生される点も女性と同様なので、男性でも比較的女性ホルモンの高い人に出やすいという特徴があります。他人を思いやる誠実な男性は、オキシトシンが高いと考えられます。

一方、最近の研究では、人間関係がうまくいかない自閉症患者の鼻にオキシトシンを霧状にして振りかけるだけで、周囲の人を意識して関係を持とうとすることも明らかになっています。人への愛情を高める作用があるオキシトシンを、自閉症治療に有効活用できるのではないか、と期待が高まっています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です