男らしさをつかさどるホルモン

投稿者: | 2017年11月7日

オトコの医療を考える時に、最も重要な役割を持つのが男性ホルモンです。男性ホルモンにはいくつか種類がありますが、最も代表的なものが「テストステロン」です。

実は近年、医療界では「男性ホルモン」「女性ホルモン」という呼称を改めるべきではないか、という意見が出ています。というのも、男性ホルモンは男性にだけ、女性ホルモンは女性にだけ存在すると思われがちだからです。実はこれは誤りで、男性ホルモンは女性にも、女性ホルモンは男性の体にも存在し、分泌される量に大きな違いはあるものの、それぞれ非常に重要な役割を担っているのです。

そんな男性ホルモンの代表格がテストステロン、女性ホルモンの代表格はエストロゲンといいます。エストロゲンについては追って説明しますので、まずはメンズヘルスにおける中心的な存在となるテストステロンが、体の中でどんな役割を担っているのかを見ていきましょう。

男性の一生で、テストステロンが大きな働きをする時期が三度訪れます。一回目は、母胎にいる時、つまり胎児の時です。

男性も女性も、人体の構造上の基本は女性です。聖書ではまずアダムという男性が作られ、その肋骨から女性のイブが作られたとされていますが、生物学的に見ると「女性が先」なのです。

医学的な男女の違いは、染色体で判断されます。染色体はDNAを包む筒のようなものですが、ヒトには二十二対の常染色体と二本の性染色体の計四十六本の染色体があります。常染色体は男女共通ですが、性染色体はXとYの二種類があります。男性の性染色体はXY、女性はXXで、男性だけがY染色体を持っているのです。このY染色体は父親から伝わるものです。そして、Y染色体を持つ胎児は、お母さんのおなかの中にいる時にテストステロンがつくられます。その結果、精巣などの外性器が形成され、「男の子」として生まれてくるのです。

男性の体内で二度目にテストステロンが活躍するのは二〜三歳あたり。ここでテストステロンの分泌量が急激に高まり、ものの考え方が男性的になってきます。女の子が家の中でままごとや人形遊びを好むようになるのに対して、男の子は三輪車に乗ったり外で遊びたがる。家の中で遊ぶにしても、自動車のおもちゃに興味を持ったりして、「男の子らしい遊び」をするようになる。これも、テストステロンが大量に分泌されていることによるものなのです。

その後しばらくは、ホルモンの面では大きな変化のないまま成長し、三度目にテストステロンが大量に出るのが、いわゆる「思春期」です。骨や筋肉がたくましくなり、ひげや体毛も生えてくる。つまり「男らしい姿」が形成されてくるのです。

男性の日々の生活において、テストステロンは重要な仕事をしています。骨や筋肉の強度の維持、性欲や性機能の維持、血液を作る働き、動脈硬化の予防、メタボリックシンドロームの予防、さらには認知機能、つまり脳の働きまでも任されているのです。

また、テストステロンはチャレンジ精神、すなわち冒険とか旅といった自分の世界を広げることにも関係します。そこで得た新しい縄張りをしっかり主張するようになるのです。会社で男性社員が、あるプロジェクトが知らぬ間に進行中であるのを聞き、「俺には報告がない」と不満を漏らすことがよくあります。これも犬が電柱におしっこして縄張りを主張するのとよく似ているのです。

近年の研究では、さらに興味深いことが分かってきました。テストステロンは、男性が他者と共存し、その中で自分を表現するという「社会性」において、非常に大きな働きを示しているというのです。

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